施工のプロが実際に建ててみた!パッシブハウスを建ててみた。住んでみた。 - 寒冷地・信州で建てる快適でエコな住宅 -

世界基準の快適性を求めて
「パッシブハウスを建てたい」
という人が増えています。

パッシブハウスとは?

パッシブハウスの概要や快適性といった魅力は
多くのサイトで紹介されていますが、
どうやってパッシブハウスを建てて、
暮らしているのかについて
生の声を聞ける機会はまだ多くはありません。

このサイトでは
長年、軽井沢で別荘建築を手がけてきた新津組の社長が、
2人の建築家とプロジェクトチームを結成!
パッシブハウスを建てて、暮らす様子をリアルにレポートしていきます。

土地選び→設計→施工→
実際の住み心地まで 私がレポートします!

新津 悟
新津 悟にいつ さとる
X(Twitter)
株式会社新津組 代表取締役社長
一級施工管理技士(建築・土木)、一級建設業経理士、省エネ建築診断士(マイスター)、断熱施工技術者(BIS)、気密測定技能者
Profile
1980年長野県生まれ。長野県育ち。
日本大学理工学部建築学科卒。2020年4月より現職。
自宅の新築を機に、パッシブハウスへの取り組みを始める。
妻と子ども二人と暮らす。
趣味はジョギングと旅行。
Q.どんな家にしたいですか?
  1. デザイン性と性能が融合した家
  2. 自分の老後や、子世代、孫世代も安心して住み続けられる家
  3. 最高の快適さと、環境への低負荷を両立した家
Architect

建築家の紹介
「意匠×温熱」
建築家2名のコラボレーション

1976年生まれ。使い手の創造力を対話型手法で引き上げ、様々なビルディングタイプにおいてオープンでフラットな設計を実践する設計事務所オンデザイン代表。主な仕事に「ヨコハマアパートメント」(JIA新人賞/ヴェネチアビエンナーレ審査員特別表彰)、「ISHINOMAKI 2.0」(地域再生大賞特別賞)、「THE BAYSとコミュニティボールパーク」「大分県立芸術文化短期大学キャンパス」「コーポラティブガーデン」(住まいの環境デザイン・アワード準グランプリ)、「神奈川大学国際学生寮」(グッドデザイン賞受賞)など。グッドデザイン賞審査員、東京理科大学准教授、明治大学特別招聘教授。
著書に「建築を、ひらく」「オンデザインの実験」

森 みわ
森 みわ
一般社団法人パッシブハウス・ジャパン代表理事
キーアーキテクツ株式会社代表取締役
パッシブハウスコンサルタント(Certified Passive House Designer by PHI)
パッシブハウス認定者(Accredited Passive House Certifier by PHI)

1977年生まれ。1999年よりドイツに国費留学、フライオットー設立のILにゲスト研究員として滞在。ドイツ・アイルランドの建築事務所にて省エネ施設やパッシブハウスの設計プロジェクトに携わる。
2009年3月に帰国。鎌倉市に設計事務所キーアーキテクツを設立。同年8月に完成の鎌倉パッシブハウスにて
2010年国際パッシブハウスデザインアワードを受賞。「パッシブタウン第3期街区」(第19回JIA環境建築賞 特別賞・WINNER LEED Homes Awards 2017受賞)、「大間の家」(第3回日本エコハウス大賞2017 大賞受賞)著書に「世界基準の「いい家」を建てる」(PHP研究所)「図解エコハウス」(エクスナレッジ)など

What's?

パッシブハウスとは
What's
Passive house?
パッシブハウスの事をよく知らない方へ、
選ばれる理由を詳しく説明します。

パッシブハウスを
選ぶ理由

パッシブハウスは、
世界で一番厳しい省エネ基準で
建てられます。

自然の力を利用して、
最小限のエネルギーで、
快適に暮らせる家です。

そもそも ——
日本の省エネ基準はどうなってる?

1979年に、オイルショックを機に石油依存からの脱却を目指して省エネ法が制定され、翌年に住宅の省エネ基準が制定されました。1992年と1999年に省エネ基準の強化にともなって断熱の仕様が等級4に強化されましたが、あくまでも推奨基準であり、守る必要はありませんでした。

ですから現在ある住宅ストック(中古物件のこと)で断熱等級4を満たす住宅は1割未満(2015年 国土交通省 統計データより)、ほとんどの住宅で十分な断熱が成されていません。

2016年に制定された「建築物省エネ法」で、「外皮(屋根・外壁・床・窓など)性能」に加えて、冷暖房・照明・給湯など設備機器の「一次エネルギー消費量」の基準が新設されました。

8つの地域区分ごとに最低基準となるUA値(ユーエー値)とηA値(イーターエー値)で外皮性能の省エネ基準を設け、さらに電気・水道・都市ガスなど住宅で使われる二次エネルギーを石油・原子力・太陽光など一次エネルギー消費量に換算し、建物全体で評価する省エネ基準が設けられたのです。

しかしながら、日本の一次エネルギー基準はとても低いハードルとなっています。量販店で購入できる安価な家電や、エコキュートなどの一般的な給湯器があれば簡単に達成できる基準であるため、一次エネルギーの根本的な削減にはつながっていません。

2025年度以降、すべての新築住宅に省エネ基準適合が義務づけられますが、基準となる断熱性能は1999年当時のまま。残念ながら先進国で最低の水準です。こうした省エネ基準のほか、ZEH(ゼッチ)、LCCM住宅などがあります。いずれも断熱性能は等級4よりも向上していますが、まだまだ基準は低く、大容量の太陽光発電によって数字上の辻褄合わせをおこなっているのが現状です。

また、UA値や一次エネルギー基準だけでは、住まい手にとって重要となる「どのくらいのエネルギーを使うか(=電気代や灯油代がいくら掛かるか)」を知ることができません。エネルギー消費量を表す指標が冷暖房需要。グローバルでは最も代表的な住宅性能基準ですが、日本国内では基準に含まれておらず、これを計算できる実務者もまだ少数です。

“国の規定する断熱基準では健康や地球環境を守るには不十分である”という認識が広がり始めています。
鳥取県や宮城県など一部の先進的な地方自治体では、独自に民間の断熱基準HEAT20を取り入れ、補助金を交付して高断熱住宅の普及を図っています。
長野県でも2022年度より「信州型健康ゼロエネ住宅(仮称)」制度がスタートする予定です。

こうした動きを経て、2022年には国の省エネ基準に断熱等級5、6、7が新設されることになりました。脱炭素社会の実現に向けて、建築物の断熱性能は今後ますます注目されていくでしょう。

省エネ住宅でよく見聞きする用語解説
  • UA値は「外皮平均熱貫流率」のこと。家の外へ逃げる熱量を外皮全体で平均した値のこと。“家の熱の逃げやすさ”を表し、UA値が小さいほど熱が逃げにくく、省エネ性能が高いことを示す。
  • ηA値は「冷房期の平均日射熱取得率」のこと。“室内への太陽光の取り込みやすさ”を表します。ηA値が小さいほど日射が入りづらく、冷房効率が高いことを示す。
  • 冷暖房需要は「家全体を一定温度に保った場合に、年間の冷暖房で使う熱量の合計」のこと。冷暖房負荷とも言われる。地域の気象データ、断熱・気密・換気性能、日射の影響など、さまざまな要因をシミュレートして計算する。
  • ZEHは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略。太陽光発電で年間のエネルギー収支を正味ゼロにする住宅とされる。家電の消費電力や時間帯別のエネルギー需要を考慮していないため、厳密な意味でのゼロエネルギー住宅ではない。
  • LCCM住宅は「ライフサイクルカーボンマイナス住宅」の略。建築・居住・廃棄時までのCO2収支をマイナスにする住宅。
  • HEAT20は「20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会」のこと。居住者の健康と住宅の耐久性を守り、環境負荷を低減する断熱性能が必要だとして、国基準を大きく上回る外皮性能を提案している。

1世界最高峰の外皮性能で冷暖房に頼らない

パッシブハウスは、ドイツの物理学者・ファイスト博士が発案し、1991年にパッシブハウス研究所(略称はPHI)で確立された省エネ基準です。パッシブハウスは屋根・壁・床の断熱性や気密性を高め、高性能な窓と換気システムを取り入れて、徹底的に熱を逃がさない工夫をしています。だから冷暖房に頼らずとも室内の温度や湿度は一定に保たれ、1年中快適に過ごすことができます。

  • 外皮性能イメージ
  • UA値図

パッシブハウスの断熱性能は、国が定めた省エネ最高基準(※2021年時点)の約2.5倍。多くのハウスメーカーにおける最高性能モデルであるZEH基準と比べても約2.2倍。暖房に使うエネルギー(暖房需要)で見ると、等級4の100に対し、パッシブハウスは15。暖房エネルギーを85%削減できます。
世界でもっとも厳しい基準をクリアした家だけがパッシブハウス研究所(PHI)によってパッシブハウスに認定されます。

2自然のチカラを取り込んでエネルギーシフトに貢献

パッシブハウスは、建てる家ごとにオーダーメイドで設計します。季節ごとの太陽の角度や風向き、周辺環境などを読み取り、開口部や間取りを決めます。南向きの窓が冬の陽光を部屋の奥まで導き、適切な庇が夏の日射をさえぎります。自然の力を最大限に生かしつつ、機械を使う設備は最小限におさえられます。
そもそもパッシブハウスは、「快適・健康な暮らしは当たり前として、気候変動を止めるために家の燃費も良くしよう」との思いから考え出されました。今まで以上に快適に暮らしながら、脱炭素を進めることで、地球と子供の未来に貢献できるのです。

  • ストーブ、床暖ストーブ、床暖
  • 冬用毛布冬用毛布
  • 温度ムラ、結露温度ムラ、結露

燃費のいい家は地球環境だけでなく家計にも有益です。光熱費はおさえられ、部屋ごとのエアコンや、便座ヒーター、浴室ヒーターや凍結防止帯などさまざまな暖房設備が不要になり、冬用の布団までもが要らなくなります。
家全体の温度ムラがないので結露は出なくなり、空気を汚すカビの発生を抑えることができます。柱や梁などの構造体も一定の温度・湿度が保たれるため、家全体が長持ちします。

建てるときだけでなく、住んでからも。トータルコストで考える大事なお金の話

家は人生最大の買い物です。物理的な大きさや価格だけでなく、利用期間も最大(長)になるでしょう。パソコンのスペックやクルマの燃費と同じように、家の性能や燃費も考える必要があります。寒冷地では住宅が使うエネルギーの約半分が暖房で消費されるため、家の燃費の良さは家計に大きく影響してきます。

建築費を抑えた結果、家の性能が落ちてしまい燃費が悪くなれば、最終的な合計コストは高くなってしまいます。日本のエネルギー自給率は、先進国でも最低レベルの11.8%(2018年度)。今後もエネルギー価格の上昇は避けられないでしょう。燃費の良いエコハウスは、長い目で見れば一番経済的な家なのです。

50年間のトータルコストでは約500万円お得!
  パッシブハウス
レベル
断熱等級5(ZEH) 断熱等級4
50年暖房費 879,699円 4,691,729円 5,864,662円
50年暖房費
(値上がり考慮)
1,557,394円 8,300,766円 11,521,673円
暖房費差額 0円 3,812,030円 4,984,962円
暖房費差額(値上がり考慮) 0円 6,744,372円 9,965,279円
  • ※暖房費以外のランニングコストは計算に入っていません。太陽光発電は未搭載としています。
  • ※計算条件:各プラン共通:地域区分2。延床面積120m2。エアコン24時間暖房。エアコンCOP2.66。電気代26円/kWh。
  • ※各プランごと:暖房需要kWh/m2:断熱等級4=100。断熱等級5=80。パッシブハウスレベル=15。電気代上昇は2050年まで63.4円/kWhへ値上がりし、2051年以降はその価格で据え置きと想定。(経産省総合資源エネルギー調査会基本分科会第43回資料。再エネ100%シナリオの試算による)

3家のすみずみまで快適で長く健康的に暮らせる

断熱・気密・窓性能の低い家は、夏は2階や天井付近、窓辺が暑くなり、冬は足元や窓辺が寒くなります。また、冷暖房器具のある部屋は限られて、家の広さに反して過ごせる場所が狭くなりがちです。

パッシブハウスなら家のどこでも適温・適湿が保たれて、1年を通じて快適に過ごせます。部屋ごとに冷暖房する必要がないため、間仕切りを取り払ったオープンな間取りが実現できるようになり、室内をより広く使えます。
吹き抜けと高性能な窓を組み合わせた開放感いっぱいのプランニングは、建物の奥まで太陽光を届けてくれます。開放された空間は高効率の換気システムと相性が良く、家全体に清浄な空気を届けてくれます。

厚生労働省の調べでは、風呂場で亡くなった人は令和元年が5690人。多くは冬に発生し、ヒートショックによる血圧の急変化や、冷えた身体を熱いお湯で温め過ぎたことによる熱中症が原因とされています。
ちなみにこの年の交通事故による死亡者数は3215人(警視庁調べ)、夏の熱中症による死亡者数は1224人でした(厚生省調べ)。

吉田兼好が「家は夏をむねとすべし」と著したのは昔日のこと。今は冬の家で亡くなる人が多く、低温対策は必須です。冷えは健康の大敵。「寒さはガマンするもの」という日本人特有の思い込みは払拭しなければなりません。

夏も冬も
いつでも快適
お財布にも環境にも
優しい家づくりは
家族の健康・幸せに
つながります。

パッシブハウスの特長

パッシブハウスは、1997年にドイツのパッシブハウス研究所が開発した省エネ建築の設計メソッドです。日本では2009年に鎌倉で初めてパッシブハウスが建築され、年々その数を増やしています。
高断熱・高気密の厳しい基準をクリアするだけでなく、熱を集中的に伝える熱橋(ヒートブリッジ)の影響や、窓からの日射取得・遮蔽の状況、換気システムの効率など、温熱環境を総合的にシミュレーション。日本全国842ヶ所の気象データをもとに、地域特性に応じた完全オーダーメイド設計が基本です。家全体の性能を最高レベルまで向上させることで、寒冷地においても40坪の住宅を6畳エアコン1台で全館空調することができます。

快適を引き出す
パッシブハウス
6つのポイント

  • しっかり断熱するしっかり断熱する
  • 空気の漏れをなくす空気の漏れをなくす
  • 熱橋をなくす熱橋をなくす
  • 窓の性能を上げる窓の性能を上げる
  • 窓の向きと庇を考える窓の向きと庇を考える
  • 熱交換換気を採用する熱交換換気を採用する

パッシブハウスの認定条件

  • 年間冷房需要:15kWh/m2以下(地域により除湿需要が加算)
  • 年間暖房需要:15kWh/m2以下
  • 年間一次エネルギー消費量:120kWh/m2以下(旧基準の場合)
  • 気密性能:50パスカル加圧および減圧時に漏気回数が0.6回以下(C値0.2相当)

「冷暖房需要」は、室内の快適な温湿度を保つため、冷房・暖房で必要とするエネルギー量。「気密性能」は、密閉により空気の流れや熱・水蒸気などの出入りを妨げる性能。「一次エネルギー消費量」は、電気やガスなど住宅で消費するエネルギーを作り出すために必要なエネルギー(石油・石炭)を熱量で表したもの。

各国の法規によって定められた省エネ基準よりもはるかに厳しいパッシブハウスの認定基準。「過剰な性能」として敬遠された時期もありましたが、世界中で脱炭素が進む近年では、各国でパッシブハウス相当基準を義務化する動きが加速しています。
寒冷なドイツを始め、地中海沿岸やカリフォルニア州、韓国、台湾といった温暖地でも建築が進み、欧米と政治的価値観を異にする中国でも近年急速にパッシブハウスが普及してきています。
認定済みパッシブハウスはデータベースに登録されるため、世界中のパッシブハウスを自由に検索することができます。

パッシブハウス・データベース
パッシブハウス認定は必要なの?

パッシブハウス 認定を受けることは安心につながりますが、認定には資料作成や多くの時間、コストもかかります。大切なのはパッシブハウス 認定を受けることではなく、認定基準を目指し快適な家をつくることです。認定を本当に取得すべきかはよく考えた方がいいでしょう。

PHPP(Passive House
Planning Package)とは

ドイツのパッシブハウス研究所が作成した建物の消費エネルギーを計算するソフトのこと。住宅だけでなく、学校建築や商業建築、医療施設などにも適応することができます。パッシブハウスを認定する際にはこのソフトで確認されます。

Column
ドイツ生まれのパッシブハウスは日本でも快適なの?

ドイツの物理学者が開発したパッシブハウスは、今やアジアを含む世界各国で建てられています。
国が変わっても、物理法則や人間が快適と感じる温度湿度は変わりません。
各国の設計者と施工者が工夫を重ね、それぞれの気候風土に合ったパッシブハウスを開発しています。その実績がPHPPにも常にフィードバックされています。
日本も例外ではありません。高温多湿に対応したパッシブハウスづくりのノウハウが蓄積されています。

  • パッシブハウスの室内湿度推奨値は絶対湿度で12g/kg。つまり室温25℃のときの相対湿度が60%。
    日本の建築基準では室内湿度について明確な規定はないが、パッシブハウスでは居住者の健康と建物本体の耐久性に大きく影響する要素として厳しく定めている
  • PHPPの評価欄には「夏の快適性」があり、室内の湿度やオーバーヒート頻度を一定以下にするよう計算する必要がある。再熱除湿や日射遮蔽を適切に活用して夏の室内環境を整えていく
  • PHPPでは「ナイトパージ(=夏の夜に窓を開けて冷えた外気を取り込むこと)」による冷房需要の低減も計算することができる。建築地の気候によっては夜でも外気の温度湿度が高く、逆に冷房の負荷が高まる原因にもなるため注意する
  • パッシブハウスには特定の工法や使うべき部材はないため、外壁通気工法や小屋裏換気工法、漆喰や珪藻土など、日本の風土に合った工法や材料を柔軟に取り入れて建築することができる

パッシブハウス作りの
ポイントと流れ

1土地選びから相談する

基本的にはどんな土地にも建てることができます。ただし、条件には良し悪しがあって、近隣に木や建物があって日照が限られたり、なかには防火規制が厳しくて高性能の窓が使用できない場合もあります。また、建物性能には直接関係ありませんが、ハザードマップをチェックして災害のリスクを調べておくことは非常に重要です。その他、インフラとの接続や地盤や地下水の状態など、検討すべき項目は多岐にわたります。施工者目線で早めにチェックできれば安全です。ぜひ、土地選びからご相談ください。

2設計士と施工会社を選ぶ

パッシブハウスを正しく理解して設計・施工できる会社は、まだまだ少ないのが現状です。
設計と施工を一体で建築できる会社はさらに貴重で、弊社でも設計を自社のみで行うことはまだできません。そのため、パッシブハウスの経験がある設計事務所を紹介させていただきます。(2022年度内に自社設計での建築を行えるよう準備中です)

お客様ご自身で建築家に設計を依頼し、施工を弊社が担当することも可能です。
弊社・新津組はパッシブハウス・ジャパンの「省エネ建築診断士」が複数名在籍しているため、PHPPによる燃費計算をお手伝いさせていただくことができます。その場合、寒冷地でのHEAT20G2クラスの設計経験のある建築家様であればより安心です。

3コストと時間に余裕をもつ

「どのくらいの坪単価でパッシブハウスにできるのか?」という質問には一概に答えることはできません。完全自由設計の注文住宅はその建物ごとに仕様も土地条件も大きく異なるためです。
ただ、長野県東信エリアは全国有数の寒冷地であるため、必要となる断熱性能が高くなり、温暖地のパッシブハウスよりもコストアップする傾向はあります。
内装を簡素にしたり、建築面積を小さくするなど工夫次第でコストを抑えることは可能です。例えば、パッシブハウスでは室内の間仕切りを取り払って空間を広く使えるようになるため、建物が小さくなっても実際に生活できる床面積はあまり変わりません。

また、通常の設計プロセスに加え、綿密な温熱シミレーションが必要となるため、設計には時間がかかってしまいます。計算通りの断熱気密性能や換気風量を確保するためには、丁寧な施工も欠かせません。
あくまでも目安ですが、コンパクトな住宅でも設計着手から完了まで最低でも1年。工事で半年程度の時間は想定しておいた方がいいでしょう。

一度建てれば、その後何十年と使う住宅ですので、じっくり時間をかけて取り組むというのもひとつの考えです。
パッシブハウスの建築を検討される方は、どうぞお早めにご相談ください。

よくある質問

積極的に導入することをお奨めします。太陽光発電による創エネルギー量が多ければ、通常の「パッシブハウスクラシック」より上位のクラスである「パッシブハウスプラス」「パッシブハウスプレミアム」の認定を受けられる可能性があります。
また、冬の晴れが多い長野県東信地域は太陽光発電の発電効率が国内最高レベルであるため、設置の経済的メリットはとても大きいです。売電の収入よりも、自家消費による電気代節約を前提に考えるのがいいでしょう。将来的なEV(電気自動車)の普及や災害に備える意味でも家庭に発電設備を用意しておくことは合理的です。

メンテナンスの手間を許容できるのであればお奨めです。(高気密住宅に対応した製品に限ります)
薪やペレットのような木質バイオマス燃料は成長の過程で大気中の二酸化炭素を吸収しており、燃やしたときのCO2排出と相殺されて差し引きはゼロ(カーボンニュートラル)とされています。
PHPPの一次エネルギー計算でも有利に働きます。森林資源が豊富な長野県では燃料が比較的手軽に手に入りやすいのもメリットです。パッシブハウスであれば燃料の消費量も少なく済むので、薪割りの手間や保存場所の問題も軽減されます。

可能です。既存建物を改修することでパッシブハウス認定が取得できます。
改修の場合はEnerPHit(エナフィット)基準が適用され、性能基準が新築時よりも緩和されます。(新築時の暖房需要15kWh/m2以下に対し、エナフィット基準は暖房需要25kWh/m2以下)
また、オフィスや学校、老人保健施設などの非住宅建築もパッシブハウスに適合できます。中大規模建築は比較的容易にパッシブハウス基準を満たすことができ、コストパフォーマンスに優れます。

こんなことを知りたい、ブログで書いて欲しい…
などのご質問もお待ちしております!

最後に。なぜ私はパッシブハウスを選んだのか

代表取締役

1つ目は、自社の建築技術をさらに高めるためです。

軽井沢や八ヶ岳の別荘建築は弊社の得意分野であり、アトリエ系設計事務所と組んで意匠性に優れた建築を数多く作ってきました。得意とする高いデザイン性にパッシブハウスの持つ温熱環境性能を組み合わせることで、お客様の求める「理想の住まい」の実現により近づくと考えています。
また、パッシブハウスは新築住宅だけではなく、既存住宅の改築や、オフィスや庁舎などの非住宅・大規模建築物まで適用が可能です。地方ゼネコンとして別荘以外にもさまざまな建築を手掛けてきた私たちにとっては、パッシブハウスの技術は極めて大きな可能性を持っているのです。欧米を中心に、新築時にパッシブハウスへの適合を義務化する国や州が増えています。世界のスタンダードとなりつつあるパッシブハウスから、世界水準の建築技術を学んでいきます。

2つ目は、地球環境と地域経済に貢献するためです。

長野県東信地域は、2019年10月の台風19号で大きな被害を受けました。私たち新津組も、河川や道路の復旧工事を災害から2年経ってからも進めています。地球温暖化によって台風が大型化し、進行ルートも変化していくことは以前から研究で予想されていました。台風19号ではそれが実証されたことになります。気候変動対策、つまり温室効果ガスの排出削減は地方に暮らす私たちにとっても他人事ではないと痛感させられました。日本では建築での環境対策=太陽光発電というのが主流でした。が、それよりも遥かに効果的なアプローチとして認識が広がってきたのが、そもそもの消費エネルギーを減らすこと=省エネ建築です。
設備機器は故障のリスクと定期的な更新の必要がありますが、適切に施工された断熱は設備よりもはるかに長いスパンで安定した性能を発揮し続けます。また、エネルギー代を削減することは、地域から富が流出することを防ぐことでもあります。省エネ建築の最高峰であるパッシブハウスを建てていくことは、地場の建設業にできる最大の環境対策、地域振興策だと考えています。

最後の3つ目は、私自身の言葉に説得力を持たせるためです。

企業が特定の商品をお客様に売り込むとして、その企業の代表が該当の商品をまったく使っていなかったら、果たしてお客様はどう思われるのでしょうか
会社としてパッシブハウスへ取り組むのであれば、まず会社の代表自らが建て、住んでみるべきだと考えました。「異次元の快適性」「究極の省エネ住宅」とも評されるパッシブハウスですが、その体験談はインターネット上にもまだごく少数です。「作り手」と「住まい手」両方の観点からデータと体感を交えたいろいろな情報を発信していきたいと思っています。温熱性能に関しては、文章や言葉でいくら説明するよりも、実際に家に入って体感していただくのが一番の近道です。パッシブハウスの快適性を実感できる場として、お客様や取引先など広くステークホルダーの皆さんにご覧いただきたいと思っています。
遠方の方にも雰囲気を味わっていただけるよう、動画コンテンツの作成も検討中です。少しでも多くの方にパッシブハウスを知っていただき、住宅や建物全般を建てる際の選択肢の一つとしていただければ嬉しいです。

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パッシブハウスの暮らし