パッシブハウスに4ヶ月間住んでみた(前編:温度・湿度編)

こんにちは。
東信州の建設会社、新津組 代表の新津です。

自宅 兼 会社コンセプトハウスとして建築した佐久平パッシブハウス(認定申請予定)。
「世界最先端のエコ住宅」に住み始めて約4ヶ月が経過しました!

高断熱住宅について語る時にはよく「暖かい」「快適」「省エネ」といったキーワードが登場します。
ですが、人によって温度の感じ方は異なり、省エネの効果も具体的な数値がなければその実態も把握しづらいものです。
また、日本の多様な気候では、それぞれの地域で前提となる条件がまったく違ってきます。

そこで、ブログを書く際には、実際に住みながら測った各種データをもとにお話していきます。
電気代・ガス代については、私たち家族が以前住んでいた賃貸マンションと、わずか1km離れた場所に建てたパッシブハウスの間で、数字を比較
これにより、同じ家族が同じ地域で生活するなかで、どの程度の省エネルギー効果があったのかが示せるかと思います。

今回の記事では、2023年8月中旬~12月中旬にかけての
● 暑い日・寒い日ごとの各部屋の温度・湿度
● 月ごとの電気使用量と光熱費(電気代・ガス代)

などを2回に分けて紹介していきます。
前編となる今回は温度・湿度となります。
光熱費データは後編で公開しています。

今回もぜひ最後までお読みください!

補足:
温度と湿度の測定は各部屋と床下に設置した「SwitchBot温湿度計」
温度湿度データの一覧表示にはAndroidアプリ「絶対湿度計 for SwitchBot」
電力消費の測定はPanasonic「AiSEG2」を使用しています。

はじめに:建物スペック

建築地:長野県佐久市(省エネ区分3地域 標高700m)
構造:木造在来2階建 許容応力度計算による耐震等級2 常時微動探査による固有周期0.12秒
延床面積:55坪(181.6㎡)ガレージ除く
パッシブハウス基準値:暖房需要9.80 冷房需要16.12 ACH0.17回/h
外皮性能:UA値0.21(ヒートブリッジの影響を含む計算値0.205)
     C値:0.1(測定値0.055)Q値1.06
太陽光発電:パネル12.0kW パワーコンディショナー9.9kW
 (母屋パネル7.2kW PCS5.5kW & ガレージパネル4.8kW PCS4.4kW)
蓄電:日産サクラ(バッテリー容量20kWh) & ニチコンV2HプレミアムモデルVCG-666CN7
換気・空調:Zehnder Comfohome(ゼンダーコンフォホーム)CHM200
給湯:太陽熱集熱器・ガス給湯器(エコジョーズ)

※ペレットボイラーは調整中のため、木質バイオマスによる給湯補助・暖房補助・換気デフロスタ機能は使っていません。
※形状が断熱的に不利な離れの和室は、後日に補助エアコンを設置予定です。現状、母屋とは温度に2~4℃の差異が出ています。

9月~10月:観測史上最高気温となった残暑

2023年9月5日。佐久市の最高気温は36.1℃となり、9月の観測史上最大となりました。
そんな過酷な環境のなか、昼12時時点の室内は全室26℃±1℃
外は絶対湿度20g/㎥台のジメジメ感に対し、家は11g/㎥台(相対湿度だと45%くらい)のサラサラ感でした。

全館空調(ゼンダー コンフォホーム)が日中に全力で冷房・除湿すると消費電力は1.5kWほど。
暑い日は太陽光パネルが9.0kWくらい発電するので、電力の心配はしないで済みます。

9月になると太陽高度が下がり、軒や庇の出をすり抜けて、直射日光が室内へ入ってきてしまいます。
それを防ぐために、南面窓には外側からよしずを立てかけて日射遮蔽を行いました。
よしずはホームセンターに売っているありふれたもの。
結局9月初旬~11月下旬まで出しっぱなしとなりました。

外が快適な10月はゼンダーの換気モードと、日中の少しの冷房モードのみで問題なく過ごすことができました。

11月:最低気温3℃になっても無暖房

2023年11月2日。朝の最低気温は3.3℃まで下がりました。
(佐久市の温度観測点とSwitchBot温度計の設置場所とでは、何℃かズレが出ています)
朝6時の室内は無暖房で23℃±1℃。熱交換換気が温度と湿度を保ってくれています。

11月の朝に無暖房、というのはこの地域の常識から見て有り得ない事態
無暖房の期間が長い=暖房を使わず省エネに繋がる、というパッシブハウスの効果を実感した瞬間でした。

12月:最低気温マイナスでエアコン1台暖房スタート

2023年12月3日。最低気温は-5.4℃に達しました。
朝7時の室内は23℃±1℃。ゼンダーの暖房モードを24℃設定で動かしてから就寝していました。
前日の日射取得で家全体が暖まっていたため、暖房が動いたのは(=室温が24℃を下回ったのは)0時~6時のみでした。

暖房モードの消費電力は0.6~0.8kWほど。冷房・除湿時よりも消費が少ないです。
太陽光発電のない夜間に動いてはいますが、夜間電力が安価になる契約プランとCO2フリーオプションを組み合わせて、低コストで非化石電力を使うようにしています。
太陽光発電の電力をV2H経由で夜間に持ち越すと充放電でロスが発生するため、上記の方が(2023年12月時点の電気代では)経済的です。

ゼンダーの暖房は冬に弱いと言われるヒートポンプ式エアコン暖房ですが、スペック上で外気-17℃まで対応可能としています。
-5℃程度では効率が落ちているような印象はありませんでした。

朝日が登ってその日の日射取得が始まると、室温はすぐに上昇して日中は暖房が不要になります。
佐久は晴れがとても多く、曇りや雨でも雲の切れ間からわずかに太陽が出ればそれが暖房代わりになります。
記事を書いている12月20日時点で、日中に暖房を必要とする日はありませんでした。

外気の絶対湿度は2g/㎥台。高原の盆地特有のカラカラな空気です。
対して、室内は9g/㎥台。相対湿度で見ると45%くらいで、9月とほぼ同じ相対湿度となっています。
加湿器は使っていません。人間から出る水蒸気や、料理、お風呂の水分を熱交換換気によって保持しています。

冬に室内の湿度を高めに保つと窓周辺に結露が発生することがありますが、今のところ結露はゼロです。
木製サッシの性能がとても高く、熱橋を防止する納まりを徹底しているため、室内全体の表面温度が均一に高く保たれているのが要因かと思われます。
水分が結露として奪われる心配がないので、室内の加湿をもっとしたい場合は、鍋でお湯を沸かすだけで湿度がぐんぐん上昇していきます。

その他:体感をざっくりと

数値の羅列だけでは味気ないかもですね。
以下は、パッシブハウスで夫婦2人&乳幼児2人で生活してみての感想を箇条書きしてみます。

夏に家の中の湿度が低いのがとにかく快適。
・洗濯乾燥機の乾燥機能が大きく上がった。室内の湿度が低いから?
・オムツや生ゴミ、オープンキッチンの匂いをほぼ感じない。計画換気が機能しているから?
・外からの雑音や雨音がほとんど聞こえなくなった。壁厚と気密の効果?
・見学会で室内に30人も集まるとさすがに暑い…。(夏は冷房フル稼働、冬は窓開け)
・毎年悩まされていた秋の花粉症がほとんど出なかった。換気システム?今年の猛暑の影響?
・妻いわく、冬の室内が「岩盤浴のような暖かさ」。壁や床の表面温度が高いから?
・冬に室内で靴下を重ね履きしていた妻が、今は裸足で過ごしていることがある。
・タイルを素足で歩くとヒヤっと感じるが、それで身体が冷えてしまう感覚は無し
・無垢のオークフローリングは床暖房無しでも暖かく感じる。床下も常に20℃以上だから?
・高窓から差し込んだ日光が、漆喰クロスの壁を照らしていく姿が美しい!
・子どもが薄着で家の中を走り回れるようになり、運動量が上がった
・子どもをお風呂に入れる時、浴室も脱衣所もまったく寒くないのがとても良い!余裕が生まれる。
・夜間の授乳、夜泣きの対応、不意のお着替えなどのイベントも「寒くない」だけでかなり楽

おわりに:後編へ続く!

前編の温度・湿度編は以上となります。
厳冬期である1月・2月はまだこれからですが、12月までの時点では十分に快適な環境になっているのがお分かりいただけたかと思います。

後編では皆さん気になるところの電気代・ガス代を紹介。
この快適な環境を保つのに果たしてどれだけのエネルギーが必要だったのか?
包み隠さずお伝えします。

できるだけ早く後編を公開できるよう頑張ります!
次回もお楽しみに。

後編を公開しました!
ぜひ合わせてお読みください。

新津