パッシブハウスの土地探し

こんにちは。
新津組 代表の新津です。

家づくりの第一歩は土地探しから。
とは言え、土地探しにもさまざまな方法があります。
ハウスメーカーの営業さんにお願いするのか、不動産会社を当たるのか、
新聞折り込みチラシやフリーペーパーの広告を見るのか、親戚から譲ってもらうのか…。

土地を決める基準は人それぞれで、唯一の正解というものは存在しません。
ごく普通の注文住宅でも大いに悩むものですが、
パッシブハウスを建てるとなると更に制約が出てくるのが現実です。

今回の記事では、佐久平パッシブハウス(認定申請予定)を建てるにあたって、
土地選びの基準は?どうやって土地を探すのか?
それぞれ書いていこうと思います。
あくまで私個人の価値観によるものではありますが、何かの参考になれば幸いです。

長期的な暮らしをイメージして


パッシブハウスは決して安いものではないため、
「良いものを長く使う」「世代を超えて住み継ぐ」という考えが必要になります。
そのため、建物本体だけではなく周辺の環境も「長持ち」するかどうか考えた方が良いでしょう。

人口減少や地方自治体の財政不安が叫ばれるなか、電気や上下水道などの基本的なインフラが
将来も万全な状態で残っているのか? 電車やバスなどの民間の交通手段が継続できるのか?
確実なことは誰にも分からないと思います。
都市を集約してインフラの整備効率を高める「コンパクトシティ」は古くから提唱されていますし、
近年では、自転車で移動できる範囲内に街の機能を集める「15分都市」という概念も広がってきています。
一定地域への集住化というのが大きな流れなのは間違いないところだと思います。

また、小学校近くのニュータウンなどが典型ですが、
同じような年代・同じような家族構成ばかりが集まるような地区は、
コミュニティ全体が同じように老いていき、長期的には多様性が薄いエリアになりがちです。

長く住み続けるパッシブハウスだからこそ、
将来的な街並みまでもイメージして土地を選んで欲しいと思います。

ハザードマップをチェック


「ハザードマップの範囲外であること」も重要な条件のひとつです。
これは長野県の新築助成金制度でも要件のひとつに入っていますね。

気候変動の影響で従来の常識を超えた災害が発生するようになっています。
家をどれだけ頑丈に作っても、土砂崩れや河川氾濫に巻き込まれればひとたまりもありません。

地域ごとに特有の災害リスクもあります。
軽井沢や御代田であれば、「浅間山火山防災マップ」は必ず目を通しておいた方が良いでしょう。

南側に開けた土地を


周辺環境とハザードマップでおおまかなエリアを絞ったら、
次はいよいよパッシブハウスの適地を考え始めていきます。

パッシブハウスでは「暖房需要(kWh/m2)」=「暖房に必要となるエネルギー」をいかに減らすかが非常に重要になります。(長野県のような寒冷地では特に)
暖房需要を削減するためには、冬の日射をいかに効率良く取得するかがポイント。
つまり、家の向きを真南に向ける「太陽に素直な」配置計画が基本となります。
同じ建物でも、真南を向けるのと真西を向けるのとでは暖房需要が約2倍も違ってくることさえあるのです。
※建物の向きによる省エネ度合いの違いは、パッシブハウス・ジャパンの動画で解説されています。

当然、南側に日射をさえぎるものが無いかどうかも確認しましょう。
樹木が多ければ伐採を考えなければいけませんし、隣家が近ければ2階の窓を増やすなどの工夫が要ります。
完全に山の影になってしまうような地形ではパッシブハウスの認定取得は厳しいことになるでしょう。

理想的ではなくても、可能な限り日当たりの良い条件で探した方が、
断熱材や窓の量を減らしてコストを抑えることにも繋がります。

「隣地にはいずれ家が建つ」ことを前提に

建築時に周囲の土地に何も無いとしても、注意が必要です。
パッシブハウス認定を受けた建築が築後何年か経過して、新築の隣家で日陰になることもあるかもしれません。
こう言った場合でも認定が取り消されることはありませんが、実際の暖房需要は確実に悪化し、快適性や電気代にも影響してきます。
周囲が建物で埋まっても問題が無いよう、土地に対しての配置計画や間取りなども入念に検討しておきましょう。

佐久平パッシブハウス(認定申請予定)の場合


では、私はどうやって土地を見付けたかというと、完全に偶然の出会いでした。
日課のジョギング中に田んぼに立てられた土地開発の看板を見掛け、すぐに不動産会社さんに連絡。
そこからはすんなり話が進み、パッシブハウスの理想に近い土地を確保することができました。
土地探しから決定までに要した期間は半年程度でしたのでかなり運が良い方だと思います。

実際にどうやって土地を探して行くかと言えば、
・出来るだけ早期に動き始め、お目当てのエリアに強い不動産会社さんに相談すること。
・その上で、施工会社も含めて情報のチャンネルをできるだけ広く持つこと。
・時間軸を長めに取ってじっくり探す。
・最後は偶然の出会いに期待。
…というのが王道なのかなと思います。(参考にならないアドバイスで申し訳ないですが)

まとめ

  • インフラが維持される安全な地域を選ぶ!
  • 南面が開けた土地を探そう!
  • 将来的な隣家の位置も想定を!
  • 早め早めに動いて情報を集めよう!

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