断熱等級4、5、6、7を個別に解説

こんにちは。新津組 代表の新津です。
前回のブログでは、長野県(2地域3地域)における断熱等級の早見表について書きました。
今回はそれぞれの等級について個別で解説していきます。(2022.10.5更新)

断熱等級4は、2地域でUA値0.46、3地域でUA値0.56です。
1999年に制定された基準で、2022年3月までは国交省の定める最高基準でした。
多くのハウスメーカーや住宅会社で「高断熱」と言えば、通常はここを指します。
2025年には新築で義務化されるため、これより低い断熱性能の家は建築することができなくなります。

断熱等級5は、2地域でUA値0.40、3地域でUA値0.50です。
2022年4月1日に新設されました。
経産省のZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)に必要とされる外皮性能と同等です。
2022年4月時点では最上位等級だったのですが、2022年10月には更に上位の等級6、7が設定されました。
国のロードマップでは2030年にこの等級5が新築義務化の対象となる予定です。
つまり、これより低い断熱性能の家は2030年以降の資産価値が大きく落ちてしまう可能性があります。

HEAT20G1は民間基準。2地域でUA値0.34、3地域で0.38です。
このレベルになると、建物全体を暖めた場合(全館冷暖房)のエネルギー消費がかなり少なくなります。
等級4でストーブやコタツで場所ごと・部屋ごとに暖めた場合(間欠暖房)のエネルギーと同等になります。
ヒートショックの防止と光熱費節約を両立するのであれば、このくらいの断熱性能が必要になるということですね。


(2023.02.14追記)上記の表はHEAT20のウェブサイトから引用させていただきました。
「等級4で居室のみ暖房」に対して「G1で全館連続暖房」を行った場合、
暖房負荷(暖房に要するエネルギー)がどのくらい変化するかが分かります。
G1で全館暖房を行うことによる消費エネルギーは
3地域で約5%増え、2地域では約10%減っています。
日本のどの地域でも全館暖房を省エネで使うには、UA値0.34ぐらいが必要なようです。

断熱等級6は、2地域3地域とも、UA値0.28です。
2022年10月1日に新設されました。
G1~等級6くらいから、壁の間に断熱材を詰める(充填断熱)だけでは不十分となり、
外壁側に更に断熱材を貼り増すこと(付加断熱)が必須となってきます。
付加断熱により建物全体が隙間なく断熱材に包まれ、建物の耐久性と快適性が大きく向上します。
私の感覚では、全国の先進的な工務店・住宅会社の多くはUA値0.30前後を目標値として設定しているように思います。
施工性・コスト・快適性のバランスが上手に取れるのがそのあたりなのかもしれません。

断熱等級7は、2地域3地域とも、UA値0.20です。
2022年10月1日に新設されました。
現在普及している断熱材や窓などの部材の性能もあり、ここが外皮性能のほぼ上限となります。
パッシブハウスの断熱性能はこれを上回ることもありますが、だとしてもわずかの値だけです。
断熱性能を高めるあまり窓が小さく窮屈な空間にならないよう、スマートウィンなどの高性能窓を活用するのが良いでしょう。

なお、各断熱等級ごとに記載している断熱仕様例は、国交省の資料を参考にしました。


https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/house04_sg_000167.html より引用)

等級7の壁の厚みの凄さが分かりますね。
ただ、実際の工事では施工性の関係で壁断熱は充填120mm + 付加100mm程度にとどめ、
基礎や天井の断熱厚さを増すことでUA値0.20に届かせることになると思います。
佐久平パッシブハウス(予定)もそうした設計です。

最後に。
今回の記事の内容を含む「建築物省エネ法改正案」。
22年通常国会に提出される予定が、急遽延期される事態になっています。
国交省は全体スケジュールに大きな遅れはないとしていますが、改正案が成立する日時はまだ不明瞭です。
この法案が提出されることが日本から寒い家を無くすことの第一歩。
一日も早い成立を望みます!

(2022/4/22追記:建築物省エネ法等改正案が閣議決定されました!
 有志の皆さんの活動の成果、おめでとうございます!)

新津

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